借金って、自分が抱えているのも苦痛ですが、親や子どもなど親族が借金地獄におちいっているのを見ているのも、辛いものです。
自分に経済的余裕があれば、なんとかしてあげられるけれど、そうもいかないし・・・ということ。
子どもなら、いくつになっていても教育上お金を出してあげることは良くないし、親だと、差し出がましいことは言いたくなかったり。
また、親の世代だと「債務整理をするなんて恥。とばかりに、借金を抱えてオロオロする割には頑として受け付けない」ということも考えられます。
では、代わりに債務整理をしてあげることは可能なのでしょうか?
まず、債務整理とは?というところから掘り下げて考えてみましょう。
借金をかかえる、に至った原因となる不幸な出来事は、何も当人が積極的に招いているわけではありません。
特にお金の問題は、本人の努力だけでは避けられません。
病気やケガ、社会的な事情、家族との人間関係など色々な事情で唐突に苦境に立たされることが誰でもあるのです。
また社会の先行きがここ数年不透明感を増しており、将来の不安からギャンブルやアルコール、オンラインゲームなどにハマってしまい、それらが引き金となって借金生活に陥る人々も増えて来ました。
恋人や会社の人に言葉巧みに騙されたり、不況の悪影響を受けて地位や職業を失う人々もいます。
そういった時に借金を何とかできないだろうか?と専門家に依頼して経済的な苦難を乗り越えようとするのが債務整理であり、市民に与えられた当然の権利です。
生活保護や債務整理などはしばしば誤解されますが、経済的な苦難を乗り越えるため、必要な権利であり、後ろめたさを持つ必要はありません。
ということ。
言ってみれば、「借金のセーフティーネット」というところでしょうか?
「借金で身動きが取れなくなったら、頼っていい法的手段」ではあるのです。
債務整理は特殊な手続きですが、専門家と二人三脚で進めれば比較的簡単です。
ただし、注意をしておきたいのが、債務整理の手続きは、基本的に借金を抱える本人しか出来ない点です。
例えば母親や息子などの親族が借金苦に陥っている場合、その当事者である本人が相談をしなければいけません。
債務整理という作業の性質上、デリケートな個人情報を専門家は色々と聞く必要があり、親族とは言え代理で依頼をする事は出来ないのです。
例外中の例外として本人から委任状を受け取る事で、親族が代理人となって債務整理をする事は法的に可能です。
しかし、法律の知識が明るくない素人が代理人になっても、債務整理をする事は困難です。
親族の方が借金苦で苦しんでいる場合は、とにかく本人を説得して専門家のもとに相談に行かせるしか無い、ということですね。
では、老後破産という言葉もあるように、親が高齢なのに多額の借金を抱えてしまったら、どうすれば良いのでしょうか?
特に認知症を患ってしまった場合、自分自身の判断もままならなくなってきます。
ある日突然かかってきた電話で、オレオレ詐欺にひっかかってしまったら?と考えると怖いですよね。
歳を取ると、「頼りにされている」と感じると嬉しいものなので、「ちょっとおかしいな」と思いながらもついつい話を聞いてしまうケースも。
この場合は、家庭裁判所に出向き、後見人として選出してもらう、という方法を取ることができます。
いずれにしても、基本的には本人が手続きを行う必要がある、ということですね。